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進撃の巨人 第121話『未来の記憶』あらすじと未解明の謎・伏線・考察【ネタバレ注意】

2020年2月17日

誰よりも自由を追い求めた結果、未来に支配される皮肉

ようやく「進撃の巨人」の能力が明らかになり、伏線回収が加速し始め、物語の構成がより複雑になってきました。

誰が誰の記憶を見ているのか?
その記憶はいつの記憶か?
偶発的に見ている記憶か、意図的に見せられている記憶か?

見方を変えると物語の解釈まで変わりそうで、なかなか考察を書くことができませんでした。

誰よりも自由を求めるエレンは、未来の自分自身、もしくはエレンの先の進撃の巨人継承者の意識に操られているのでは?とも考えられる回です。

進撃の巨人 第121話「未来の記憶」あらすじ

エレンとジークは、父グリシャの記憶を辿りますが、途中からグリシャの様子がおかしくなります。

マーレ時代の家族写真の裏に「人類は滅んでなどいない…」と書き記し、手記とともに地下室の秘密の引き出しにしまい、鍵をかけた後、グリシャの視線はその様子を見ているエレンに向かいます。
ですが、エレンはグリシャの記憶を覗いているだけなので、グリシャにはエレンは見えるはずがないのですが。

10歳のエレンが調査兵団に入りたいと訴えている最中にも、その瞳はまるで目の前の物を見ていないかのように焦点が合わなくなります。
さらに子供エレンに地下室を見せてあげる約束をするときには、目線の先には大人エレンがいます。

その後ウォールマリアが破壊され、グリシャは始祖の巨人の持ち主・フリーダの元へ行き、巨人を駆逐するよう訴え、フリーダは拒絶します。たとえ自分から始祖の巨人を奪ったとしても、始祖の力はグリシャには使えないというフリーダに、グリシャは意外なことを言い始めます。

自分が始祖の巨人の力を使えないことは知っている。
そして、「不戦の契り」のため王家の血筋を持つフリーダ自身も、始祖の力を完全には使えないことも。
これらは、未来の継承者の記憶をも見ることのできる「進撃の巨人の力」により、知ることができた。
「進撃の巨人の力」で見える未来では、私はここであなたを食らい、王家の血を絶やすことになっている。
と。

しかし、人を救う医者であることに誇りを持っているグリシャは、子供を殺すことができないと、メスを取り落とします。
そんなグリシャにエレンは命令します。
巨人になり、一家を喰らえと。

グリシャは巨人になり、ロッド以外のレイス家を殲滅します。
打ちひしがれたグリシャはジークに、エレンを止めるように頼みます。

ここで、エレンとジークは座標の空間に戻ってきます。
エレンに失望したジークは、始祖ユミルに、全てのユミルの民の生殖能力を奪うよう、命令し、始祖ユミルは座標に向かって歩き始めます。

ユミルを座標に到達させてはならない。
エレンはユミルを止めるべく、走り始めます。

解明されていない謎・伏線と考察

1. ミカサを傷つけた件

グリシャの記憶を辿り、ミカサにマフラーを巻いてあげる幼い日の自分を、エレンは見つめます。
エレンの表情からは感情は読み取れませんが、少なくとも第112話『無知』でミカサに「子供の頃から嫌いだった」といった言葉は真実ではなく、やはりミカサを守りたい一心だったのでしょう。

2. 地下室を見せる約束を子供エレンにした時の、グリシャの視線

地下室を見せる約束をしたとき、グリシャは子供エレンを見ていないことには気づいていました。
しかし、漫画やアニメでは良くある手法ですので、あまり気には止めていませんでした。

まさか、視線の先に未来から来たエレンとジークがいたとは!

2〜3年ほど前、諌山先生が「絶対にバレていない自信がある伏線がある」発言をしたと、確か2011年の「このマンガがすごい!」のインタビューで語っていました。
初期の段階からいくつか伏線を張っていたそうですが、この目線は、さすがに伏線とは思いませんでしたね。

それはともかく、グリシャはエレンによって何を見させられたのでしょう?

3. グリシャはエレンによってどんな未来を見させられたのか?

どうやらエレンは、自分の見た任意の光景を、過去の進撃の巨人の継承者に見せることができるようです。
これは、座標の空間に戻ってきたエレンが、
『感謝してるよ、兄さん。あんたがオレを親父の記憶に連れ込んだおかげで今の道がある』と言っていることから、グリシャの記憶を辿っているうちに獲得した能力なのでしょう。
もしかしたら、始祖の巨人の継承者でもあるエレン固有の能力なのかもしれません。

ではいつからエレンはその力をコントロールできるようになったのでしょうか?
それは前回のお話、第120話『刹那』で、グリシャがジークの姿を見た時ではないかと思います。

エレンとジークは「進撃の巨人」を通じてエレンに引き継がれた「グリシャの記憶」を辿っています。
つまり、マンガ上では神視点で描かれていますが、実際には「グリシャの目を通して見た世界」を見ていると推測できます。
絵柄的にエレンとジークがグリシャの側に立っていたとしても、エレンとジークはグリシャの目を通した世界を見ているに過ぎません。
ちょうど、VRを見ているような感覚でしょうか。

けれどもVR内の人物であるはずのグリシャはジークを見た。
この時、エレンはグリシャの後ろに立っています。
グリシャは自分の目でジークを見たのではなく、この時のエレンの目を通してジークを見たのではないでしょうか?

エレンが幼児だった頃、すでにグリシャはレイス家の礼拝堂の地下室を見つけていました。
しかしグリシャは扉を閉め、我が家に帰り、エレンを抱き上げます。
ジークは、自分には与えられなかった父親の愛情を、エレンには惜しみなく与えるグリシャを見つめます。
そのジークの表情を、エレンは見ていました。

そのすぐ後、グリシャは地下室でマーレ時代の写真を傍らに置き、寝落ちしてしまいます。
写真を見つめるエレン。
グリシャは『ジーク…ごめんな…』と寝言をつぶやきます。
ジークは振り返り、グリシャはふと目を覚まして『…ジーク?』とつぶやきます。
エレンとジークが驚いたようにグリシャを見つめる中、グリシャははっきりと目を覚まし、『ジーク…、そこに…いるのか?』と語りかけます。
ジークの姿はすぐに見えなくなってしまったようですが、グリシャがジークに語りかけた時、もう一コマ、エレンの驚いた顔が挿入されます。
なぜここで、エレンの驚いたコマが必要なのでしょうか?
普通に考えてより驚いたのはジークの方であり、グリシャの正面に立っていて表情を描けなかったことからも、驚いた顔を挿入すべきはジークの方ではないでしょうか?

もしかしてこの時エレンは、なんだかんだ言っても兄弟としてジークに憐憫の情を持ち、目の前にいるジークの姿をグリシャに見せてあげたいと願ったのかもしれません。
そうしたら出来てしまった。
この時、エレンは自分の見ている光景を、自由に進撃の巨人の継承者たちに見せることができると気づいたのではないでしょうか?
そして、今見ている光景を見せられるのであれば、過去に自分が見た光景をも見せられると。

『次だ。次の記憶だ。ジーク』
次のページから、エレンは急に強気に出ていることからも、それが伺えます。

では、地下室を見せる約束を子供エレンにした時、グリシャはどんな未来をエレンに見させられたのでしょうか?

子供の頃のエレンが母親のカルラに、調査兵団に入りたいと訴えます。
カルラは当然反対しますが、グリシャは息子に尋ねます。

『エレン、どうして外に出たいんだ?』
『外の世界がどうなっているのか、何も知らずに一生壁の中で過ごすなんて嫌だ!!
 それに…、ここで誰も続く人がいなかったら、今までに死んだ人達の命が無駄になる!』

聞いているグリシャの顔色が変わっていきます。
そしてグリシャは子供エレンに地下室を見せる約束をするのです。
目線は子供エレンから逸らし、見えるはずのない大人エレンに移しながら。

この場面の前のページで、グリシャはマーレ時代の家族写真の裏に、『人類は滅んでなどいない』とメモを書き、地下室の秘密の引き出しの中に隠し、鍵をかけます。
時系列的には、ミカサを引き取った後です。
遅くとも数ヶ月後には巨人の襲撃があるという時期でしょう。

なぜ、壁内に移り住んで10年以上も経ってから、そんなメモを書きつけたのでしょう?
考えてみれば、何も写真の裏に書かなくてもいいわけです。
写真はノートに入った切り込みに差し込まれていました。

『これは絵ではない』
『これは被写体の光の反射を特殊な紙に焼き付けたもの、写真という』
『私は人類が優雅に暮らす壁の外から来た』
『人類は滅んでなどいない』

写真の裏になど書かずに、写真が差し込まれた隣のページに書いた方が、よほど自然な内容です。
ではなぜわざわざ写真の裏に書いたのでしょうか?

それは、「未来において、その文章がそこに書かれていたから」ではないでしょうか?

写真を挟んだ本を隠し引き出しに入れ、鍵をかけた後、グリシャは鍵を見つめ、見えるはずのないエレンの方に目をやったように見受けられます。

これは何を意味しているのでしょうか?

ところで隠し引き出しの鍵穴は、21巻で描かれていますが、グリシャの机の右側手前に開けられています。
前話、第120話『刹那』の最終ページの1コマ目で机のその部分が描かれています。
仰角で描かれていますので、天板と接する部分まではっきりと描かれていますが、そこにあるはずの鍵穴は描かれていません。

隠し引き出しを作ったのも、写真の裏にメモを書いたのも、必要だからそうしたのではなく、エレンにそうなっていた未来を見せられたため、未来に合わせての行動だったのではないでしょうか?

そして子供エレンが調査兵団に入りたい理由を聞きながら、グリシャの顔色が変わっていったのは、エレンがこのセリフを言った後、地下室を見せる約束をする未来を、あらかじめエレンによって見させられていたからではないでしょうか?
そして、その時見た未来の光景はグリシャ視点ではなく、大人エレンのもの。
なので、グリシャには大人エレンは見えていませんが、そこに大人エレンがいることを知っていて、エレンの方を見ながら、約束をしたのではないでしょうか。
よく見ると、エレンの方を見やるグリシャの焦点も、エレンからは若干ずれているように見えます。

グリシャが外出して程なく巨人が来襲し、ウォール・シーナ内にいたグリシャもその知らせを受けます。
この時のグリシャが思いつめた表情をしているのは、始祖の巨人の継承者に会わなければならないと決意したためか、それともこれから自分がすることを知っていたためか、定かではありません。

個人的には前者だと思います。
壁外から来た正体を知られようとも、始祖の巨人の継承者に会いに行かなければならない。
そのことにより、自分は二度と家族に会えなくなるかもしれない。
そういう、決意と怯えがないまぜになった表情だと思います。

グリシャがフリーダに襲来した巨人の駆逐を訴えている最中に、ジークが訝しく思うほど、エレンの表情が険しくなります。
ジークが呼びかけても、まるで聞こえていないかのように、何かに集中しています。

この時エレンは、少し先の未来を見て、その未来をグリシャに見せていたのではないでしょうか?

グリシャは訴えます。
壁内の人たち、自分の家族が食われてしまう前に、巨人を駆逐してほしい。
先祖の犯した罪を知らない我々が、何も知らずに巨人に食われるのが贖罪なのか、と。

その訴えは、真っ当で、誰もがその立場に立ったらそう訴えるであろう内容です。
しかしフリーダがその訴えを拒絶した後、グリシャはちらっと、斜め後方のエレンを見ます。
そこからグリシャの様子が変わります。

「進撃の巨人」は未来の継承者の記憶重覗き見ることができる…
つまり未来を知ることが可能なのだ

私はここで
始祖を食らい
王家の血をここで絶やす
…そういう未来だと決まっている

しかし医者であるグリシャは、子供に手を下すことはできないと、メスを取り落とします。
そのグリシャにエレンは非情にも命令します。

何をしてる
立てよ
父さん

復権派の仲間に
ダイナに
クルーガーに
報いるために進み続けるんだ

死んでも
死んだ後も

これは
父さんが始めた
物語だろ

グリシャは巨人になり、ロッド以外のレイス家を殲滅するのですが、無残な姿に成り果てた子供達を見るエレンの目は、望んだ結果であるにも関わらず、非常に悲しそうに見えます。

次のページでは、 90話『壁の向こう側へ』での勲章を授与し、口づけをするために差し出されたヒストリアの手が描かれます。
これは、この前後の出来事が、ヒストリアの手にキスをした時にエレンが見たグリシャの記憶であることを示唆していると思われます。

グリシャは慟哭します。

殺した…
小さな子も…
潰した…

この手で…
感触も…

エレンも感触が残っていると言っていたことから、レイス家の地下に入ったあたりから、一連の出来事を、キスの瞬間に”見た”のだと推測できます。

…ジーク…
この先…
お前の望みは叶わない…
叶うのは…
エレンの望みだ

エレンの…先の記憶を見た…
…しかし
まさかあんな…
恐ろしいことになるとは…

エレンが最後の「進撃の巨人」であると考察する人もいますが、「エレンの…先の記憶を見た…」というグリシャの台詞からは、エレンの先、つまりエレンの次の進撃の巨人の継承者がいることが推測できます。

また、座標の空間に戻った時のジークのセリフ、
「父親の記憶からどんな未来の景色を見たのか知らないが…
お前はすべてを見たわけじゃないんだろ?」
からも、グリシャが見た「エレンの先の記憶」は、エレンが見せたものではなく、”道”を通ってたまたまグリシャが見た記憶なのでしょう。

グリシャはジークを見て、抱擁します。
それを暗い目で見つめるエレン。

「ジーク… エレンを… 止めてくれ」
というグリシャの言葉と、ヒストリアの手にキスをし、グリシャの記憶を”見た”エレンの顔が重なります。

つまり、エレンはあの瞬間、「エレンの望みが叶う」が、「エレンの先の継承者の時代には恐ろしいことが起こっている」ことを知ったのです。
さらに、グリシャがジークを抱擁し、「エレンを止めて欲しい」というシーンを再現するために、グリシャにジークを”見せ”もしたのです。
全ては、グリシャの記憶通りに物事を進めるために。

エレンは誰よりも「自由」を重要視しています。
しかし、「自由」を得るために行なっている行動は、今や「規定の未来」を実現するためになぞっているに過ぎなくなっています。

今の『進撃の巨人』という物語は、誰よりも自由を追い求めた結果、未来に支配される皮肉を描いているように思えてなりません。

第121話『未来の記憶』は進撃の巨人30巻に収録されています。


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