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『親なら知っておきたい学歴の経済学』高卒はアレだからとりあえず大学進学、と考えている人に読んで欲しい本

2020年2月19日

中途半端な大学に中途半端に入学すると、人生を棒に振りかねない

「不都合な真実」を突いており参考になる部分もありますが、著者の推奨する「ベストな選択」がマイルドヤンキーのそれであり、私にとっては全く魅力的ではない…
ただ、薄々は感じていたことをこうして書籍にして問題提起したことには意味があると思います。
特に、なんとなくFランク大学に進学する高校生には、読んで自分の進路を真剣に考えて欲しいです。

要約

18歳人口は減り続けているのに大学定員は増え、もはや「良い大学⇒良い就職先」の方程式は崩れている。
また、AIの台頭により、多くの仕事が今後AIに取って代わられることになる。
こうした時代では、無理に大学に進学するよりも、仕事に直結した高校・専門学校に進学した方が就職先に恵まれ、生涯賃金も大卒をしのげる可能性がある。
大学に進学する場合も、仕事に直結した学部が望ましい。
AIに取って代わられない職種とは、経営者か、人間関係を活かした仕事。
なので、今後はローカルにこそ活路が見いだせるかも。

「とにかく大学へ」神話の崩壊

進学先を選ばなければ誰もが大学に進学できる「大学全入時代」。
そのような時代に、「大卒」という肩書きに投資するのはリスクが高いのではないか?と著者は説きます。
ましてや奨学金を借りた場合、500万円もの借金を背負っての卒業となります。
奨学金返済者のうち5%弱が3ヶ月以上返済を延滞し、ブラックリストに載っているとか。
ブラックリストに載ると、クレジットカードは作れなくなり、住宅ローンなども組めなくなります。
借金まで背負って大学を卒業したにも関わらず、就職先によっては高卒よりも生涯賃金が少なくなる可能性も。
従業員数10〜100人の企業に就職した大学・大学院卒の生涯賃金は、従業員数1000人以上の企業に就職した高卒者よりも5000万円ほど少ないという現実。
つまり、下手な大学に進学するくらいなら、高卒で大企業に正社員として就職した方がいい。
偏差値60くらいの大学に進学するのなら、大企業に太いパイプのあるジョブ型高校に進学し、大企業に正社員として就職した方が、生涯賃金は高くなる、というのです。

著者の主張も一理あります。
私は大学卒業後従業員数10〜100人の企業に就職しました。
ずーっと同じ企業で働き続けていますが、合併を繰り返して今は従業員数1000人以上の企業となっています。
年収は、昇給分を除外しても、100万円以上アップしました。
なので、生涯賃金だけで考えれば、「なにがなんでも大企業の正社員」が正解なのは身を以て実感しています。

ですが著者の説く「ジョブ型高校⇒大企業正社員」のコースも、リスキーなもののように思えます。
まずこのコースでは、最初に就職した企業で定年まで勤め上がることが前提となっています。
このコースの肝は、「指定校求人で大企業に就職」です。
就職先が合わず辞めてしまったり、リストラや倒産で失業した場合、「高卒」の土俵で戦わなければなりません。
二度と「楽して大企業に就職」のカードは切れないのです。
新卒で入社した会社にすべてを賭けるという生き方は、リスクが高すぎるように思います。

いま「安全な進学先」はあるのか?

先ほど著者は、「ジョブ型高校⇒大企業正社員」のコースを推奨していました。
しかし、『高校生の就職率のウソ』では、
高卒者の就職先は大卒に食われている。
それにもかかわらず就職率100%近くを維持しているのは、求人倍率が低く就職先がない年は大学進学を生徒に勧め、「高卒で就職を希望する生徒数」を操作して「就職率100%」を維持している、と書いています。
ならば「ジョブ型高校⇒大企業正社員」の道も、「大卒⇒大企業正社員」の道と同様に厳しいのでは?

しかも著者は、Fランク大学にしか進学できない学力の学生にこのコースを勧めているわけではないのです。
偏差値60程度の大学への進学を考えている生徒にも勧めているのです。
偏差値60前後の大学といえば、大阪市立大学、九州大学、東北大学、金沢大学、学習院大学、関西大学などの大学が該当します。(「みんなの大学情報」による)
こうした大学の、特に「つぶしの効く」文学部、社会学部、経済学部などの仕事に直結しない「非ジョブ型」の学部は難しいと言います。
このくらいの学力を持った生徒は、医学部や薬学部、教員養成系学部のように仕事と大学教育が対応している「ジョブ型」の学部に進学するか、就職を希望する業種に関連する専門学校へ進学、もしくは最初からジョブ型高校へ進学した方がいいとしています。

…文学部が「つぶしの効く学部」って、初めて聞きました。
薬剤師や教員を進めている点にも疑問符が。
薬剤師はここ数年ずっと人手が余ると言われている業界ですし、現に求人の給与水準は下がっています。
著者は教員養成学部の教授のためか教員は「食いっぱぐれない」としていますが、将来は「AI教師」に代替されるとも言われている業界です。

試験問題から見えてくる、大学や国が求める学生像

第3章『トップ大学はこう変わる!』の、某県の高校入試の内容と採点基準は参考になりました。
今後、こうした問題が多くなってくることは十分予想されることです。

わが子を生き残れるようにするには

将来、多くの仕事はAIに取って代わられる。
しかし、AIに代替されない仕事が2タイプある。
1つはひらめき。ノーベル賞やフィールズ賞など、いくらデータを蓄積してもひらめきがなければ到達できない分野。
もう1つは個々人を相手にしたニッチな分野。

そして著者は、私たちの平凡な子供が生きていくための未来を提案しています。
小中学校は健全な男女交際を通しての「出会いの場」。
高卒後就職し、就職後数年で同級生と結婚。
共働きで、生涯添い遂げる。

これが、AI時代を生き抜くための処方箋なのだとか。
マイルドヤンキー?

わが子を守るための戦略

ローカルの勝ち組になろうと説いています。
ローカルで人間関係を構築すれば、年齢を重ね、技術力が低下しても、人間関係を維持・高度化でき、仲間内で仕事をやりくりできる、と。

将来、学歴より人間関係が重要になるという説には頷けます。
ですが、人口流出が続くローカルに活路を見いだすのはいかがでしょうか。
筆者の勤務している大学のある市も、過疎化が進んでいます。
「消滅可能性都市」リストには入っていませんでしたが、地方から「若い女性」の流出を防ぐためにこうした本を書いている、と考えるのは穿ちすぎでしょうか?


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