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Huma 希望の歴史

結局のところ、人類は私と同じ人間の集まりである

木を切り尽くしたイースター島住民、スタンフォード監獄実験、少年たちを用いたロバーズ・ケーブ実験、ミルグラムの電気ショック実験、キティ・ジェノヴィーズを見殺しにした近隣住人
教科書や心理学の本でおなじみの内容が、ことごとく曲解・歪曲されて伝えられていると本書では書かれています。

これらは性悪説の根拠として語られますが、伝えられている内容は実際の出来事とは異なっていて、逆に性善説の根拠になりそうな内容であったり、実験者の恣意的な操作があったり、扇情的な内容で話題を稼ぎたいマスコミによって恣意的に事実が捻じ曲げられていたりしていることが、著者の地道な調査で明らかにされています。

著者の主張にも恣意性が見られますが(例えば、農耕牧畜社会に移行することで天然痘などの家畜由来の病気が蔓延したと書かれていますが、それ以前の世界でも病気はあったでしょうに)、今まで常識とされてきたことに疑問を投じた意義は大きいと思います。
正直、今まで購入してきた心理学関係の書籍をいったん全て廃棄し、数年後に新しい知見を取り入れた書籍で学び直さなければならないと思うほどです。

私はズルくて怠け者なところもあるけれども、良い人間でありたいと思っています。
天変地異や事件・事故の現場に立ち会ったことはありませんが、そうした場に居合わせたなら、実際は固まってしまうかもしれませんが、人を助けたいと思っています。
私は全く特別な人間ではありませんが、だからこそ、世界の大多数の私同様特別ではない人間たちは、私と同じような性質を持っているという当たり前のことを、信じてみたいと思いました。

本書で特に面白かったのは、ネアンデルタール人が絶滅した理由と、ロシアで行われているギンギツネの実験です。
狼から犬が、猪から豚が家畜として作られましたが、家畜の方が野生の生物より可愛らしい外見をしていることに注目した実験です。
人間が、可愛らしい外見の動物を選択して交配させたのではなく、別の指標で選択し続けた結果、可愛らしい外見になったのではないかという仮説に基づく実験です。
具体的には、「人懐っこさ」です。
外見は関係なく、人懐っこいギンギツネ同士を交配し続けた結果、耳が垂れ、尻尾が丸くなり、毛皮に斑点が生じ、鼻は低くなり、骨が細くなり、オスはメスに似てきたそうです。
この実験は今現在も続けられており、今は40数世代目のギンギツネを飼育しているとか。

ネアンデルタール人が絶滅し、ホモ・サピエンスが生き残った理由も、「人懐っこさ」によるものと、彼らは説いています。
ネアンデルタール人の方が、私たちよりも頑健で、脳の容量も大きく、火を使いこなしたり死者を埋葬したりと知能も高かったにも関わらず、生き残ったのはホモ・サピエンスの方でした。
その理由は、私たちホモ・サピエンスに駆逐されたのではなく、社会性に欠けていたからではないかというのです。
ホモ・サピエンスはネアンデルタール人に比べ、弱く、脳が小さく、可愛らしい外見をしています。
つまりそれは、ホモ・サピエンス社会において、社交性がある人が生き残りやすかったため、ネアンデルタール人よりは人との繋がりが強く、一つの発見を分かち合うことができ、難局を乗り越えられたのだとしています。
本書に面白い例えがあったのですが、ネアンデルタール人が超高速コンピュータだとしたら、ホモ・サピエンスは時代遅れのパソコンである。しかし、動きは遅いがWi-Fiで繋がっている、というのです。