進撃の巨人 第123話『島の悪魔』 あらすじと未解明の謎・伏線・考察【ネタバレ注意】
最終回の音が聞こえる…
進撃の巨人展Finalで、最終話の音の展示をしていました。
暗闇の中で音を聞く展示ですが、爆発音や吹き荒れる風、大砲、立体機動装置の音などが聞こえ、まさに戦場で戦闘真っ盛りといったイメージでした。
今回、壁の巨人たちが歩き出したあと、辺りは巨人の咆哮で占められます。
その描写を見たとき、「あ、最終回の音だ」そう感じました。
まさか次回で最終回なんてことは…ないでしょうね…
第123話『島の悪魔』あらすじ
誰もがエレンは変わったと言う
私もそう思った
でもそれは、違うのかもしれない
エレンは最初から何も変わっていない
あれがエレン本来の姿だとしたら
私は…エレンの何を見ていたのだろう
ミカサの回想から物語は始まります。
調査兵団が初めてパラディ島を離れ、マーレに足を踏み入れた時の回想です。
オニャンコポンが案内していますが、パラディ島より格段に進んだ文明に、皆度肝を抜かれます。
車を見て騒ぐコニー、サシャ、ハンジ。
伊達男ジャンは、「今絶対田舎者だと思われた。他人のフリしようぜ…」と、妙に馴染んでいます。
リヴァイでさえ気圧され気味な中、エレンは心ここに在らずといった様相。
エレンにとっては過去の進撃の巨人継承者の記憶で、既知の風景なのでしょう。
雑踏の中、サシャの財布をすろうとした少年を、リヴァイは捕まえます。
その少年は、エレンの走馬灯に現れた、あのトルコ帽の少年でした。
少年は敵国の移民でした。
移民に対する排斥感情と、エルディア人かもしれないという憎悪。
少年に私刑を加えようとするマーレ人から救い出したものの、彼はちゃっかりリヴァイから財布を抜き取って逃げてしまいました。
そんな少年を、エレンはじっと見つめていました。
キヨミの話では、血液検査の発達により、世界中でユミルの民の存在が発覚しているとのこと。
さらに、エルディア帝国全盛時には各国の上流層は小取ってユミルの民の血を取り込んだものの、今や国を追われる立場となっている。
つまり、かつて国を治めていた者たちも迫害を受ける身となっている現状では、パラディ島が和平交渉をするには、相当困難な道ということです。
キヨミの話の途中で、エレンがいないことに気づいたミカサは、エレンを探しに行きます。
エレンはトルコ帽の少年のいる難民キャンプの前で、静かに涙を流していました。
「…何があったの?」と尋ねるミカサに、「…まだ何も」と答えるエレン。
104期生たちがやってきて、キャンプの人たちと酒盛りが始まり、皆、酔い潰れてしまいました。
翌日の国際討論会で、唯一ユミルの民に好意的と思われた「ユミルの民保護団体」の主張は、「ユミルの民には罪はない。諸悪の根源はパラディ島の悪魔だ」というものでした。
その演説を聞いたエレンは席を外し、そのまま調査兵団に戻ることなく、マーレ襲撃へとつながっていくのでした。
ミカサの回想はここで終わります。
現実では、エレンが巨人化しましたが、その巨人は、巨”人”というよりは、恐竜のような形をした、超大型巨人の10倍はあるかと思われる巨軀をした”何か”でした。
やがて轟音が鳴り響きます。
シガンシナ区だけでなく、ウォール・マリアの壁まで崩壊し、壁の巨人が歩き始めているのです。
ミカサとアルミンの頭の中に、エレンの声が響きます。
すべてのユミルの民へ告ぐ
始祖の巨人の力を介し、すべてのユミルの民へ話しかけている
パラディ島にあるすべての壁の硬質化が解かれ
その中に埋められていたすべての巨人は歩み始めたオレの目的は
オレが生まれ育ったパラディ島の人々を守ることにあるしかし世界はパラディ島の人々が死滅することを望み
永い時間をかけ膨れ上がった憎悪はこの島のみならず
すべてのユミルの民が殺され尽くすまで止まらないだろうオレはその望みを拒む
壁の巨人はこの島の外にあるすべての地表を踏み鳴らす
そこにある命をこの世から駆逐するまで
エレンの物語はもはや、「世界を滅ぼそうとする悪役が、そう考えるに至ったスピンオフ」の様相を呈してきました。
今後の展開が、全く読めませんね。
解明されていない謎・伏線と考察
エレンはなぜ泣いていたのか?
トルコ帽の少年が住む難民キャンプを見ながら、エレンは涙を流しました。
なぜ泣いていたのでしょう?
「…何があったの?」と尋ねるミカサに、「…まだ何も」と答えるエレン。
この時エレンは、未来を見ていたのでしょう。
おそらくこの難民キャンプが襲撃される未来を。
エレンの走馬灯で、この少年のコマがかなり大きかったことから、少年の死は、エレンに大きな影響を与えることになるのでしょう。
ミカサの返答次第で、エレンの行動は変わっただろうか?
それでも…考えてしまう
あの時
もし私が
別の答えを選んでいたら
結果は違っていたんじゃないかって…
難民キャンプを前に、エレンはミカサに尋ねます。
ミカサ…お前はどうして…
オレのこと気にかけてくれるんだ?子供の頃オレに助けられたからか?
それとも…オレは家族だからか?
オレは…
お前の何だ?
ミカサは顔を真っ赤にして、「あなたは…家族…」と答えます。
この時ミカサが、「あなたのことが好きだから」と答えていれば、エレンは凶行に走らなかったでしょうか?
恋愛要素がほぼ皆無の進撃の巨人で、12巻第50話『叫び』以降、久しぶりのラブ要素です。
『叫び』で、ミカサに何度でもマフラーを巻き直してやると言い、カルライーターに徒手空拳で立ち向かったり、今回の「オレはお前の何だ?」の質問の持って行きかたと言い、エレンがミカサに恋愛感情を抱いていることは明らかです。
そうした感情を持っての問いかけに、顔を赤くした相手が「家族だ」と答えたとして、言葉通りに受け取るバカはいないでしょう。
いくらエレンが鈍感だとしても。
となると、ミカサがどのような返答をしても、エレンの行動は変わらなかったと思うのですが、気になるのはエレンの表情です。
まるですがるかのような顔をして、ミカサに問いかけています。
こんなエレンの表情は、初めてです。
もしかしたらエレンは本当に揺らいでいたのかもしれません。
壁内人類を守るには、海の向こうの敵全部を駆逐しなければならない。
でも、家庭を持って幸せになる未来がオレにもあっていいかもしれない。
ちょっと地ならしをして、ヒストリアとその子孫に重責を担ってもらって、オレが死んだ後のみんなに頑張ってもらえば。
あと数年の命。最期に平凡な幸せを求めて何が悪い?
そう思っていたのかもしれません。
そこへ長老がやってきてお茶を勧め、104期生たちもやってきます。
エレンは「ちょうどよかった…」とつぶやき、皆をテントへ誘い、酒を飲み交わします。
エレンの表情は、憂いを含んでいるものの、穏やかです。
この時エレンは、何を考えていたのでしょう?
そして、何が「ちょうどよかった」のでしょう?
ミカサとの会話を邪魔されたこと?
難民キャンプの人たちと104期生を繋げられたこと?
エレンは全世界を地ならしできるのか?
エレンは全世界を地ならししようとしていますが、本当にできるのでしょうか?
まず、巨人たちがいるのはパラディ島です。
世界を地ならしするには大陸に渡らなければなりませんが、当然海を渡らなければなりません。
パラディ島と大陸の距離はそれほど離れているようには見えませんので、水深も浅いかもしれません。
ちなみに瀬戸内海の平均水深は31m。
身長50mの超大型巨人なら、なんとか渡れそうです。
一方、本州と佐渡の間の佐渡海峡は深度200メートル前後の大陸棚だそうですので、超大型巨人といえども渡れません。
パラディ島と大陸の間の水深は何mなのでしょう?
さらに、仮に深度が浅く、超大型巨人が渡れる深さだとしても、もう一つ問題があります。
巨人が体積の割に軽すぎることです。
ハンジさんが巨人の頭を蹴飛ばしていたことから、密度はかなり低いと考えられます。
「押しのけた流体の重さだけ軽くなる」のが浮力です。
つまり、体積の割に軽い巨人は、水中では浮き輪のように浮かんでしまい、歩くことができないのです。
果たしてエレンはこれに気づいているのでしょうか?
今までのパターンですと、エレンの自信満々のモノローグの後は決まって最悪の出来事が起こってきたので、非常に心配です…
エレンの地ならしで、パラディ島も全滅じゃね?
パラディ島にあるすべての壁の硬質化が解かれ
その中に埋められていたすべての巨人は歩み始めた
エレンは言います。
壁の巨人はこの島の外にあるすべての地表を踏み鳴らす
でも、島の地表も踏み鳴らしているように見えます。
巨人たちはエレンの後を追って歩いているだけで、壁内の人たちに配慮しているようには見えません。
となると、エレンは壁外を踏み鳴らす前に、まずパラディ島を地ならししてしまうことになりますが、彼は気づいているのでしょうか?
とても心配です…
エレンの演説はユミルの民以外に伝わる?
エレンの演説は、全ユミルの民に伝えられました。
でも、それで何が起こるのでしょう?
①パラディ島の人たち
そうか! エレンは自分たちを守ってくれるのか! 巨人の力さえあれば安泰だ!
…と思った直後に、巨人が襲来し、真っ先に地ならしされてしまいます。
②-1パラディ島外の人たち(収容区)
パラディ島の巨人がマーレを滅ぼしてくれるって!?
それは歓迎するけど、もしかしたらオレたちも地ならしで滅ぼされるんじゃね!?
逃げたいけど収容区から逃げ出したら撃たれるかもしれないし、かといって看守に伝えても逃してくれるとも思えないし、どうすりゃいいんだ!?
②-2パラディ島外の人たち(収容区外に潜伏)
パラディ島の巨人がオレたちを迫害する奴らを滅ぼしてくれるって!?
それは歓迎するけど、オレたちも地ならしで滅ぼされるんじゃね!?
それは困る! なんとかして伝えたいけど、ユミルの民ってバレるじゃないか!
エレンがこれから引き起こす惨事を見れば、エレンの狙いは全世界の人たちが過たず理解するでしょうが、エレンの語る内容を正しく伝えるルートとしては、③パラディ島に来たユミルの民である、ガビ、ピーク、ライナー、ファルコ(意識があれば)でしょう。
彼らがエレンの主張をマガト隊長元帥に伝え、彼がどう動くか。
死んだと思われていた彼が生きていると判明するコマを先月号で挿入したのは、彼が重要な働きをするからかもしれません。
第123話『島の悪魔』は進撃の巨人31巻に収録されます。
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