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『きみの脳はなぜ「愚かな選択」をしてしまうのか』老化やコロナ差別も 〜潜在意識による私達の「無意識」の行動〜

成長が早い人は老化も早い

その昔、大学生だった頃、1~2年生で教養科目を履修する必要がありました。
今の大学では教養科目は削られる傾向にあるようですが、その頃の私の入学した大学は、2年間かけてかなりの量の教養科目を取る必要がありました。
今振り返ってみると、実は私は進学した学部にそれほど興味はなく、むしろ教養科目が一番面白かったのです。
しかも美術や地理など、中高生の頃は苦手な部類の教科が面白く、結果的に人生に役に立っているのです。

そして、履修しなかったことを今後悔している科目があります。
心理学です。

心理学って当時はよくわからなくって、「人の心を読むと主張する怪しげな学問」という印象を持っていました。
そのため、心理学は受講しませんでした。
もぐりが出るほど人気の先生もいたというのに…
もったいない!

卒業後、ダン・アリエリーの『予想どおりに不合理』を読んで、初めて心理学のおもしろさに触れました。
今では行動経済学を学びに大学に入り直したいくらいです。
そういうわけにもいかないので、心理学や行動経済学に関する本を積極的に読んでいます。

『きみの脳はなぜ「愚かな選択」をしてしまうのか』も、心理学に関する本です。

人が「予想どおりに不合理」な行動を取るのはなぜか、という疑問に対して、一見不合理な行動が、実は進化レベルでは賢明な判断であることを示した本です。

進化レベルでは賢明な判断

私たち人間を含め、あらゆる生物(生物とはいえないウイルスさえも!)の最終的な目標は、子孫を残すことです。
そのため、本書では恋愛に関する記述も多くあります。

が、その内容がもう…

生き急ぐ人は老化も早い

成長が早い人、遅い人がいます。
早熟の天才と、大器晩成。
そして、おませと奥手。

おませな人と奥手の人は、性格的なものだけでなく、実際に体の成長も違うのだそうです。
奥手な人はゆっくりと成長し、思春期が始まる年齢も高く、初体験の時期も遅く、相手も少なく、子供の数も少なく、結婚してから子供を持つ傾向があり、生物学的に老化する速度も遅いそうです。
一方おませな人は思春期が始まる時期が早く、初体験も早く、相手の数も多く、そして生物学的に老化する速度も速い!

かなりショックな内容ですね。

早く生きるか遅く生きるかは、遺伝による生まれつきの性質というのもありますが、環境による影響も大きいそうです。
子供の頃、暴力や病気がはびこっている危険な場所で育った女性は初産の年齢が低い傾向があるそうです。
親の収入の増減が大きかったり、引越が多かったり、家族が頻繁に入れ替わったりする不安定で予測のできない環境で育った場合も、思春期の始まりが早まるそうです。

人間は妊娠期間が長く、赤ちゃんは生物学的に未熟な状態で生まれてくるので、生育に非常に時間がかかります。
そのため、余裕がある人は技術や知識を獲得し、資源を蓄えてから繁殖という行動に移れますが、危険や予測できない状況にいる人にとっては先が見通せないので、自分に投資するよりも繁殖という進化上の利益が得られる行動をとったほうが得策、ということらしいです。

いや、それにしても「成長が早い人は老化も早い」とは、ずいぶんすごいことを言い切りましたね。
同窓会の企画が全然ないので、私自身の体験としては実感がないのが残念です。

ところで、今世界はコロナ禍の渦中にあり、そしてその結果経済的な大混乱が引き起こされるでしょう。
すでに失職した方や、「コロナ離婚」をした方もいるでしょう。
世界全体が不安定になり、失業率の増加により治安も悪化するかもしれません。

以前より不安定で危険な状況で育つ子供達は、安定した状況で育った今の青年たちよりも、早婚で子沢山になるのでしょうか?
著者たちは20年後、この結果を基にした著書をあらわしそうですね。

男女比の違いによって、借金額も変わる

アメリカのメイコン市とコロンバス市は、同じような歴史と経済環境を持つにも関わらず、コロンバス市の男性のクレジットカード負債は、メイコン市の男性より平均30万円以上も多いそうです。

二つの市はよく似た環境にありますが、ただ一つ違うのが男女比。
メイコン市は、女性一人当たり0.78人の独身男性しかいませんが、コロンバス市では、女性一人につき独身男性は1.18人いるそうです。
つまり、コロンバス市では女性は希少な存在で、独身男性は女性を取り合って激しい競争が行われているというのです。

アメリカの134の都市について調査したところ、その都市に女性が少ないほど、独身男性の負債額は高く、所有するクレジットカードの枚数も多いそうです。
多分彼らは自分たちがほかの都市よりも、女性の歓心を得るためにお金を使っているという自覚はないのでしょう。

これが心理学の面白いところであり、恐ろしいところです。

私たちは、意思決定は自分の意思で行なっていると思っています。
しかし、意識と無意識の比率は、意識が1~3%、無意識が97~99%とも言われ、私たちが意識できている部分はほんの一部分に過ぎないこともよく知られています。
ちょうど氷山のように、水上に現れている部分が私たちの意識(顕在意識)で、海面下にははるかに大きな無意識(潜在意識)がある、という図を見たことがある人も多いでしょう。

私たちは、自分自身の意思で物事を決定していると思っていますが、実際は潜在意識が圧倒的な力を持っているらしいです。

自分の行動は自分で意識的に決めているわけではない。
そう考えると恐ろしいですが、潜在意識もまた「自分」です。
潜在意識に関する研究も、ずいぶん進んできたようで、本書では7人の潜在意識について書かれています。

頭の中の7人の小人

私たちの頭の中には、進化上の問題を担当する7つの人格がいるそうです。
7つの人格とは、自己防衛、病気回避、協力関係、地位、配偶者獲得、配偶者保持、親族養育の7人です。
その時々によって主導権を握る人格が変わり、それによって私たちの潜在意識の決定も変わる。

例えば、恋愛小説を読むと配偶者獲得の人格が主導権を握り、魅力的な異性を探し、恋人候補の目に自分がより良く映るような行動をとり、独身男性のクレジットカード負債が大きくなります。
一方、一旦カップルになってしまうと今度は配偶者保持の人格が主導権を握り、パートナーを奪いかねない魅力的な同性に注意を払うようになります。

映画化もされた『脳内ポイズンベリー』というマンガがありますが、ちょうどそんな風に頭の中に様々な自己がいると思うと、楽しくなってきますね。

今、多くの人の主導権を握っているのは、病気回避の自己でしょうか。
この人格は、途上国から来た外国人のことを考えるだけで、活性化されるそうです。
異国から来た人が異国の病気をもたらし、自分に壊滅的なダメージを与えるかもしれない ー新大陸にスペイン人たちが持ち込んだ天然痘などのようにー
この人格が主導権を握ると、病原菌を持ち運んでいるかもしれない他人と接触しないよう、いつもより内向的になるそうです。

今、新型コロナウイルスによる差別が世界中に蔓延しています。
欧米人はアジア系を、ドイツ人はフランス人を、中国人はアフリカ系を、非感染者は感染者とその家族を。

内なる自己は危険を感じ、潜在意識は接触を少なくするよう行動をコントロールしています。
これは新型コロナウイルスを封じ込める上で非常に大切で、理にかなった行動です。
しかし、差別まで潜在意識に引きずられないよう、意識したいものです。


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