進撃の巨人 第128話『裏切り者』あらすじと未解明の謎・伏線・考察【ネタバレ注意】
立ち位置が変われば正義は牙をむく
暁の鎮魂歌 Linked Horizon
進撃の巨人アニメ第3期 Part.1のエンディングの一節ですが、まるでこれからの展開を予言したかのような歌詞でしたね。
あらすじ
ハンジさんたち調査兵団とマーレ混成軍は、作戦会議を開きます。
飛行艇の操縦はオニャンコポンでも可能ですが、折りたたまれている羽を伸ばして飛べるようにするには、アズマビトの整備士が欠かせません。
飛行艇とアズマビトを守りつつ、艇を整備する時間を稼ぐ。そしてできればイェーガー派からは死傷者を出したくない。
しかも、蒸気の様子から壁の巨人は既にマーレ大陸に上陸したと見られ、時間がありません。
フロックはアズマビトを銃で脅し、協力を要請していました。
そこへアルミンとコニーの声が聞こえます。
「車力の巨人を追っていた! 奴らは鎧と共に海に逃げた! 追いかけるには飛行艇が必要だ!」
飛行艇の元に走るアルミンとコニーを止めたのは、同じ104期生のダズとサムエルでした。
何かおかしい…
訝しむフロックはアズマビトに銃を向けますが、キヨミが飛びかかります。
ミカサが窓から飛び込みますが、フロックに逃げられ、作戦は失敗します。
ダズは飛行艇を爆破しようとし、サムエルはアルミンを撃ちます。
コニーはダズを撃ち、続けてサムエルも撃ちますーー
ダズとサムエル
まさか再登場するとは思わなかったダズとサムエル。
ダズは、訓練兵時代の雪山行軍でクリスタとユミルが助けた「虫の息」兵士です。
超大型巨人によるトロスト区襲撃時に、「もうダメだ」と絶望もしていました。
サムエルは、同じく超大型巨人によるトロスト区襲撃時、失神して壁から落ちるところをサシャにアンカーをふくらはぎに打ち込まれて、助けられた兵士です。
ダズはともかく、サムエルは怪我のため除隊したと思っていたので、再登場には驚きました。
しかし再登場はしたものの、コニーによって撃たれてしまいました。
特にサムエルはサシャが助けた兵士です。
それをコニーが…
世界は残酷です。
『オレはお前と同じ』
アニが104期生に「あんた達ならあの日…、壁を壊すことを選ばなかっただろうね」と言います。
それを聞いたライナーは、マーレでエレンが言った言葉「やっぱりオレは…、お前と同じだ」を思い出し、「あれは…、そういうことか…」と何かに気づきます。
そして、104期生は作戦に加わらなくていい。ただし、何も手出しはするな、と言います。
ライナーは一体、何に気づいたのでしょう?
第100話『宣戦布告』で、エレンはこの言葉を言った後、「多分…生まれた時からこうなんだ」と続けますが、ライナーは「…え?」と言う感じで、よく分かっていない様子でした。
それが今、理解したということなのでしょう。
『宣戦布告』では、エレンはこの言葉の後にヴィリー・タイバーに襲いかかり、結果として子どもを含む民間人にも多数の死傷者が出ました。
エレンがレベリオを襲撃したこと、「壁を壊すことを選ばなかっただろうね」というアニの言葉で思い出したことから、ライナーは、エレンがこの言葉を「自分が守るべきもののために、どんな犠牲をも払う」という意味で語ったと理解したと思われます。
エレンの真意を理解したライナーは、自分が殺戮を一身に引き受け、事態を打開しようとします。
「オレはお前と同じ」
この言葉が発せられた時、ライナーがピンと来ていなかったのは、ライナーが壁を破壊したのは、マルセルを食われ、このままマーレに帰っても立つ瀬がないという極めて自分勝手な理由からでした。
エレンはマーレに潜入し、エルディア人の置かれた状況、戦士隊に選ばれることの意味を知ったと思われますが、当然ながらパラディ島潜入後のライナー達の事情までは知りません。
そのため、マーレからの洗脳、エルディア人の期待を背負っての壁の破壊だと思い、「オレはお前と同じ」と発言したのですが、ライナーにとっての真実は異なるので、「…は?」ということになったのだと思います。
ライナーが今、ようやくエレンの真意に気づいたのは、エレンがあの時知り得た情報を鑑みるとそのように考えるであろうと、メタ的な視点で考えることができるようになったため。
ライナーほど聡明な人物であれば、普通であればすぐに思い至ったのでしょうが、あの時、突然エレンが目の前に現れ動揺していたライナーにとっては、とても客観的には考えられなかったのでしょう。
『裏切り者』
128話のタイトルは『裏切り者』ですが、「誰」が「誰」を裏切っているのでしょうか?
128話単体で見れば、フロック、ダズ、サムエルから見た、パラディ島の安寧を脅かすアルミンとコニーです。
サムエルはコニーに「裏切り者!」と叫びます。
コニーはかつて自分がベルトルトに同じ言葉を浴びせたことを思い出します。
立ち位置が変われば、立場は逆転する。
ダズはヒストリアとユミルが、サムエルはサシャが命を繋いだというのに。
彼ら二人も、調査兵団に入っていれば、ハンジ側にいたかもしれない。
コニーも、駐屯兵団に入っていれば、イェーガー側にいたかもしれない。
彼ら、おそらくコニー、ダズ、サムエルに関しては、「裏切った」わけではなく、所属が違っただけの話。
(アルミンはたとえどの兵団に属していても、ハンジ側についていたでしょう)
やり切れなさを感じます。
進撃の巨人全体で見れば、様々な「裏切り」が存在します。
大きい視点で見れば、
・壁内人類 ⇒ 壁を壊した「故郷組」
・壁内人類 ⇒ 自分たちを殺しにやってくる壁外人類を地ならしから助けようとするハンジさん達
・壁外のエルディア人 ⇒ パラディ島に篭った壁内人類
・マーレ人 ⇒ タイバー家
個人的な視点で見れば
・ジーク ⇒ エレン
・ジーク ⇒ 自分を利用した両親
・エレン ⇒ 優柔不断なハンジさん
・エレン ⇒ 子孫の生きる自由を緩慢に奪おうとするジーク
・ハンジさん達 ⇒ イェーガー派
・イェーガー派 ⇒ ハンジさん達
・ハンジさん達 ⇒ エレン
他にも、前話でキース・シャーディス教官は、訓練兵達にイェーガー派につき、来たるべき時が来たら裏切るように言っています。
進撃の巨人には様々な「裏切り」がありますが、彼らは悪をなそうとしているわけではありません。
それぞれが、それぞれの思惑で最善を選んだ結果、対立する陣営からは「裏切り者」認定されてしまっています。
ガビは様々な葛藤ののちにハンジさん達と分かり合えることができましたが、今後の展開でこれらの「裏切り」が和解に向かうことはあるのでしょうか?
ものすごい表紙ですが、諌山先生はサウナに凝っておられるとか…
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