『著作権のことならこの1冊』知らずに法律違反を犯さないために
私的利用以外のコピーは許されない
私の勤務している業界では、数年前まで、メーカーの担当者が値上げ交渉に来る際は、業界新聞のコピーを持ってきて、「このように原料が値上げになっているから」と説明するのが一般的でした。
が、いつしか新聞を持ってくる担当者の数は激減しました。
(正直なことを言うと、今でも少数います)
会社のコンプライアンス研修で、新聞のコピーを配ることは著作権違反であることを知り、驚いた記憶があります。
著作権は法律で保護された権利です。
法律で守られている以上、「知らなかった」では済まされないこと。
また、著作権は被害者の告訴がなければ公訴できない親告罪でしたが、2018年12月30日から、一定の要件をすべて満たす場合に、被害者の告訴がなくても裁判にかけられる非親告罪になりました。
このような書評ブログはもちろんのこと、SNSで情報を発信したり、会社で資料を作るときでも、うっかりしていると著作権に抵触してしまいかねません。
本書は最初に著作権の概要を説明した後、Q&Aの形式で補足しているため、非常にわかりやすい構成となっています。
インターネットでありがちなトラブル
ネット上の写真や画像の無断使用は著作権侵害であることは、広く知られています。
では、アニメキャラなどを真似して描いたイラストは?
これもやっぱり著作権の侵害にあたるそうです。
面白いのが、どんなイラストでも自分で創造したイラストは著作物にあたるのですが、キャラを真似して描いたイラストは創作性がないため、二次的著作物にはあたらないそうです。
よく見かけるのが、著作権侵害を回避するため、キャラクターの特徴を残したままデフォルメしたイラストですが、これに関するQ&Aは残念ながらありませんでした。
あと意外だったのは、テーマパーク!
テーマパークのキャラクターはもちろん、施設も、美術・建物・二次的著作物にあたるそうで、ブログやSNSに載せると、著作権の侵害にあたる可能性があるそうです。
ただし、自分を撮って、キャラクターや施設がたまたま写り込んだ場合は、著作権侵害にはならないとか。
でも、この解釈で行くと、キャラクターとのツーショットはアウトということですね…
知りませんでした。
パソコンソフトでありがちなトラブル
法律って杓子定規だなあと思ったのが、違法ソフトの事例です。
違法ソフトは当然著作権に違反していますし、違法と知って購入し、使用しても、著作権の侵害になります。
ところが、違法と知らずに購入した場合は、後日違法ソフトと知ったとしても、知った後でも著作権侵害に問われないのだとか。
音楽でありがちなトラブル
ネットで購入した楽曲は、携帯音楽プレーヤーに転送したりCDに焼いたりは普通にできますし、著作権的にも、自分が利用する分には何の問題もありません。
では例えば、CDに焼いて彼女に渡すのはどうでしょうか?
これ、私的利用にあたるため、問題ないそうなんです。
「私的利用」とは、自分自身や家族など限られた範囲内での利用のこと。
まぎらわしいのは、ネットなどで見ると「友達は私的利用にはあたらない」としているサイトが多いことです。
私的利用の範囲を調べてみると、どうやら「強い個人的結合関係が及んでいる範囲」で、4~5人程度の範囲らしいですね。
そうすると、自分自身と家族、パートナーはOKで、友達まで広げると数が多すぎるので当てはまらない、ということになるのですね。なるほど。
ビジネスでありがちなトラブル
先に、商談に新聞のコピーを使うのはダメ、と書きましたが、何と、社内会議で新聞や雑誌のコピーを使うこともダメなんだそうです。
それは知りませんでした。
新聞や雑誌そのものを持ち込んで、説明しなければいけないのでしょうね。
ところで、図書館にはコピーサービスがあります。
著作権的にどうなの?と思いますが、図書館の場合、新聞や雑誌は一人につき1部に限り、著作権者の許可なしでコピーできるのだとか。
ただし、当然私的利用に限ります。
まとめ
本書を一言でまとめると、「私的利用以外は原則的にコピーは許されない」ということかと思います。
リクエスト受付中です!
記事下のコメント、お問い合わせフォーム、ツイッターのDMなどで、お気軽にご連絡ください。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません