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『風の谷のナウシカ』の「風の谷」は現実世界のどこにあるのか、徹底解明!

「風の谷」は、セレウコス朝の首都アンティオキア(現トルコのアンタキア)に位置する(かもしれない)

『風の谷のナウシカ』は、未来の地球の話です。
表見返しにこのように書かれています。

ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は
数百年のうちに全世界に広まり巨大産業社会を形成するに至った
大地の富をうばいとり大気をけがし
生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明は
1000年後に絶頂期に達し
やがて急激な衰退をむかえることになった
「火の7日間」と呼ばれる戦争によって
都市群は有害物質をまき散らして崩壊し
複雑高度化した技術体系は失われ
地表のほとんどは不毛の地と化したのである
その後産業文明は再建されることなく
永いたそがれの時代を人類は生きることとなった

『風の谷のナウシカ』は、何年後の世界?

産業革命は、Wikipediaによれば、「18世紀半ばから19世紀にかけて起こった一連の産業の変革と、それにともなう社会構造の変革のこと」だそうですので、1000年後の西暦2800年前後に絶頂期に達し、その後「火の7日間」が起こり、文明は衰退したと考えられます。

「巨大産業文明の群れが時の闇の彼方に去ってより千年」(1巻 p26)とありますので、『風の谷のナウシカ』の時代は、西暦3800年前後と推測されます。

「風の谷」は現代世界のどこに当たる?

3巻に収録されている次の地図が参考になります。

『風の谷のナウシカ』3巻

1巻の31ページに、「1リーグは1ノットという設定」とあります。
Wikipediaによれば、「ノットは速さの単位であり、1時間に1海里(1.852km)進む速さである」とあります。
スケールバーの150リーグは約280km、300リーグは約555kmを表しています。

これを踏まえて地図を見ると、3つの特徴に気づきます。

1.トルメキア王国は、1000kmほどの半島である
2.南の海は内海である。
※内海:陸地と陸地との間に挟まれ、狭い海峡によって外洋と繋がっている海域(引用:Wikipedia)
3.トルメキア王国の東のごく狭い海峡の対岸には、大陸が広がっている
※大陸がトルメキア王国の領土かどうかは不明

『風の谷のナウシカ』の舞台が1800年後の地球ですので、地形は大きく変わっていないはずです。
が、上記を満たす地形は、現実世界のどこにも見当たりません。

ですが、1箇所だけ条件を変更すると、その場所がほぼ特定できます。
その変更する条件とは、南北を逆にすること。

世界地図を逆さにし、内海と細い海峡と大きな半島がある場所を探すと…
トルコ周辺が一番近いのではないかな、と思います。

方位の北と南が真逆になってしまいますが、地磁気が逆転したとするとつじつまが合います。
今ちょうど地磁気逆転を扱った本『地磁気逆転と「チバニアン」』を読んでいるのですが、地磁気の観測を始めてからの200年間、一貫して地磁気の強さは弱くなっているそうです。
このまま地磁気が弱まり続け、ついには逆転するかどうかは科学者たちにも分からないようですが、今後2000年弱で大きく地形が変化するよりは、地磁気逆転の方がまだ現実味があるかな、と。

しかし、トルメキア=トルコ説でもいくつか地形状の矛盾があります。
例えば土鬼の領土は現実世界ではカスピ海がありますが、これは干上がったことにしましょう。
シュワの墓所の手前にはゴス山脈があります。
現代の地図でみると、シュワの墓所のあるあたりはアラル海付近で平原が広がっているのですが、シュワの墓所をもう少し南の設定にして、ゴス山脈をイランのエルブールズ山脈、墓所をダマーヴァンド山に築かれたとすると、ちょっと楽しい設定となります。

ダマーヴァンド山はイランの神話の舞台となった山で、悪霊の呪いで両肩から2匹の黒い蛇が生えている王ザッハークが封印された土地とされています。
田中芳樹の『アルスラーン戦記』の元ネタですね。
「蛇王ザッハーク」の封印された山にシュワの墓所が建造された、なんて、考えるだけで楽しくないですか?

次に、大海嘯の点から矛盾がないかを検証してみます。
「火の7日間」の後、大海嘯は3回あったとされています。
最後の大海嘯は300年前、王蟲は2000リーグ走って死んだ、とされています。
2000リーグ=約3700kmです。

例えば3回とも約3700kmずつ腐海が拡大したとすると、
最初の起点を極東ロシア、ベーリング海峡に接する町ナウカンという町にとりますと、そこから約3700km離れた町は、ロシアのヴォロンツォヴォという町になります。
そこからまっすぐに3700km南下した地点は、新疆ウイグル自治区の砂漠となります。
さらに今度は西に3700km進むと、イランのケルマーンシャーという町に当たります。
あ、ダマーヴァンド山を通り過ぎちゃった。

まあ最初の2回の大海嘯では、3回目ほど腐海が広がらなかったかもしれませんし、そもそも極東の小さな町から大海嘯が始まったというのもおかしな話です。

では、アルプス=ヒマラヤ造山帯が腐海の南下を防いでいたという設定ではどうでしょう。
エカテリンブルグから東、愛・地球博で有名になった冷凍マンモス「ユカギルマンモス」が発掘されたユカギルまでが3800km、そこから南下して北京市までが3750km、西に進路をとって、パキスタンのイスラマバードまで3700kmです。
うん、これならなんとか整合性があります。

もっとも、4回目の今回の大海嘯では、腐海から555km(300リーグ)程度しか王蟲は走っていません。
今回の大海嘯の目的は、土鬼が生物兵器として造った変異体の粘菌を救うという目的だったため、粘菌の集結地点で王蟲は止まり、死を迎えます。
翻って3回目の大海嘯の原因は、武器商人が組織的に王蟲を狩ったことに端を発します。
激怒した王蟲は、力尽きて死ぬまで走り続けました。

1回目と2回目の大海嘯の原因は不明ですが、限界まで王蟲が走った3回目が、大海嘯の最大の規模であることは間違いありません。
1,2回目は4回目同様、そこまで大規模でなかった可能性もあります。
そう考えると、トルメキア=トルコ説も結構いい線なのではないでしょうか。

「風の谷」の場所は?

トルメキア=トルコ説を採用し、現代の地図に当てはめてみると、風の谷はアナトリア半島の根っこに位置します。

この辺りですと…
トルコのアンタキア。紀元前4世紀のセレウコス朝の首都アンティオキアだった都市がふさわしいでしょうか。

ちょっとした山と谷もあるようですし、私の中では「風の谷」の場所はアンティオキアで決定です!


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