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『風の谷のナウシカ』と『エヴァンゲリオン』の類似性

師弟は似るもの。だけど根本は正反対かも

庵野秀明が映画『風の谷のナウシカ』の巨神兵のシーンを描いたことは有名です。
他にも、TV版エヴァンゲリオンの第11話「静止した闇の中で」はジブリが製作していたりと、庵野秀明と宮崎駿は交流があるので、二人の雑談からエヴァの設定が生まれたのでは?と考えると楽しいですね。

1.使徒の存在

2.「◯海文書」の存在

3.クシャナとアスカの母親が精神を病み、人形を娘と思っている

4.命を持った巨大兵器

1.使徒の存在

これは私のこじつけです。

4巻90ページ目でチククがナウシカを「使徒」と言っていますが、普通に「神の使い」といった意味合いで使われています。

2.「◯海文書」の存在

エヴァンゲリオンでは「死海文書」が重要なアイテムとして使われています。

風の谷のナウシカでは、5巻55ページで「腐海文書」というものがあることが語られます。
といっても、ナウシカの腐海文書はエヴァとは違って「予言の書」的なものではなく、腐海の歴史書的な位置付けです。
ユパは、「年代記」とも言っていました。

ところで私は、死海文書を見たことがあります。
イスラエル旅行の際、イスラエル博物館に展示されているレプリカを見ました。

現実世界の死海文書は、エヴァの設定のように未来を予言した文書ではなく、2000年前の聖書の写本です。
昔は印刷技術がなかったため、本は全て写本によるものでした。
そのため、時代が下るにつれて誤字脱字、はては意図的に改ざんされた箇所も増えてきます。

現在では、聖書のギリシア語写本だけで5700以上が発見されているそうです。
その中に含まれている異文は3万箇所もあるとか。

古い写本が見つかることは、より原典に近づくことであり、また、写本がどのように伝わっていったかを検証する道しるべともなります。

さらに「死海文書」は、その成立年代が2000年前です。
つまりイエス・キリストその人が読んでいたかもしれないという文書なのです。

3.クシャナとアスカの母親が精神を病み、人形を娘と思っている

『風の谷のナウシカ』の方が早く世に出ているので、宮崎駿へのオマージュではないかと、私は考えています。

4.命を持った巨大兵器

特撮博物館の展覧会のキャッチコピーは「エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵」でしたし、どこかで「エヴァのデザインは巨神兵がルーツ」という話を読んだ記憶もあるので、エヴァは巨神兵が元になっていることは間違いないですね。

問題は、なぜ人型の兵器なのか。なぜ命を持っている設定なのか。

これ、エヴァは理解できるんですよ。
正式名称「汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン」で、魂とコアが同化していたり、そもそも「神様」(のようなもの)をコピーした存在ですしね。
物語上エヴァには魂が必要な設定ですので、人型であり、魂を持っている理由があります。

でも、巨神兵には必然性が全く無い。
一応7巻あたりで「調停者」「裁定者」という(後付け)設定がありますが、単に宮崎駿がそういう兵器を作りたかっただけなんじゃないかなーと思います。

ナウシカとエヴァ、決定的に異なるラスト

このように似ている部分がある『風の谷のナウシカ』と『エヴァンゲリオン』ですが、決定的に異なる部分があります。
主人公の性格と、選択した結果です。

ナウシカは人間だけでなく生きとし生けるものすべての生命を愛し、また愛されています。
殺戮を嫌いますが、「風の谷」の族長という立場上、必要であれば戦闘での殺生も行います。
ですが基本的に戦争には反対であり、戦争回避のためには風の谷よりはるかに大国のトルメキアや土鬼の王族にも対等に意見します。
彼女の影響を受けたトルメキア皇女クシャナ、先の土鬼王朝の末裔のチククからも絶大な信頼を得ており、ナウシカを媒介とした2大国当主の信頼関係により、戦争は終結しました。

しかし彼女は、「火の7日間」以前の人間が計画した、世界の浄化プログラムを否定します。

世界の浄化プログラムは、地球に溜まった毒素を無害化するために腐海を作りましたが、腐海の毒に旧人類は耐えられないため、ある程度毒に耐性のある現人類(ナウシカ達作中人類)や動物を遺伝子操作か何かで作り、浄化が完了した暁には、「おだやかな性質」に改変された新人類が台頭する、というものでした。
ナウシカは旧人類の計画は生命への侮蔑行為であると断罪し、浄化後の生命復活の中枢と思われる「シュワの墓所」と「新人類の卵」を巨神兵の火により焼き払います。

生命を誰よりも愛したナウシカは、メタ的に生命を愛するがゆえに人類を特別の存在とは見なさず、「人類の存亡を星に任せる」決断をしました。
しかし、腐海の拡大は止まらず、現人類・現生物の住める範囲はますます狭くなっている現状では、ナウシカも薄々感づいているように、進化によるさらなる毒耐性の獲得は絶望的であり、結果として現人類だけでなく、他の腐海の外に住む全生物の絶滅はほぼ確定しています。

一方、碇シンジは内向的な性格であり、人間関係に消極的です。
しかしシンジは、サード・インパクトで人類補完計画が発動した際、「他人の恐怖」があっても「人に傷つけられても」なお他者のいる世界を選びました。

生命を愛したナウシカは生命の存続する可能性を断ち、他者を恐れたシンジは他者と生きる道を選びました。

映画『風の谷のナウシカ』で巨神兵を描いた庵野秀明は、宮崎駿が怒鳴っているのを聞いたそうです。

人間なんてね、滅びたっていいんだよ!! とにかくこの惑星に生き物が残ってれば、人間という種なんていなくなっても全然いいんだ!

ナウシカとシンジの選択の違いは、そのまま、宮崎駿と庵野秀明の人間に対する考え方の違いなのでしょう。


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