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『その白さえ嘘だとしても』ネタバレと考察(のようなもの)

設定は突き詰めるとSF的になって、プロットは突き詰めるとミステリ的になる

のだそうです。作者の河野裕さんのインタビューによると。

前作の『いなくなれ、群青』は1冊完結でしたが、2作目の『その白さえ嘘だとしても』からは、巻をまたいだ謎がてんこ盛りです。

あらすじ

クリスマスを控え、階段島に様々な不思議が起こります。
まず、ネット通販の荷物が届かなくなりました。
商店が発注した品物は船で届くのですが、一般消費者がネットで注文した商品がキャンセル扱いとなり、ついには通販サイトにアクセスさえできなくなります。
しばらくして、階段島では噂が流れ始めます。
ハッカーがハッキングした結果、こんな事態になったのだという噂が。
そのハッカーは、誰かに追われていて、自分の意思で階段島に逃げ込んだのだとも。

同時期に、クリスマスの七不思議の噂も流れ始めます。
その七不思議の一つには、ハッカーに関する不思議も含まれていました。

終業式の日、笹岡はヴァイオリンのメロディに惹かれ、中等部に足を向けました。
笹岡が階段を上っている途中で、メロディは中途半端なところで止まってしまいました。
ヴァイオリンを弾いていたのは、中等部の豊川という少女でした。
彼女はイヴのパーティーで演奏する予定でしたが、弦が切れてしまったのです。
笹岡は彼女に弦を探してくると約束し、島中を探し回りますが、弦は見つかりません。
クリスマス七不思議には、「必ず失敗する演奏会」という噂も含まれていました。

堀と時任は、真辺由宇を「危険」だと言います。
真辺由宇の何が危険なのかは分かりませんが、彼女の存在は、人の判断基準を揺さぶります。
委員長と七草は、「真辺由宇だったらこうするだろう」と考え、実際に七草は彼女の存在のせいで自分の選択が変わったことを自覚しています。
そして真辺由宇は笹岡の選択も変えます。

現時点での謎

・七草の夢の「金貨」は何の比喩か?

・郵便局員の時任は、なぜ、階段島の歴史が意外と浅いことを知っているのか?
 単に、墓地が偽物であることからの推測?

・月に1度しかガレージキッドに現れない「ミュージシャン」が、11月21日~23日に3日連続で現れたのはなぜ?

・笹岡の兄は、なぜ急に変わったのか?
 単に、受験合宿で思ったより勉強ができない自分を突きつけられ、「大人」になったから?
 それとも合宿中に魔女に会った? となると、兄は笹岡と同じ感性であることを自ら捨てた?

・七草はなぜ、「100万回生きた猫」にあげる有塩のトマトジュースを探さなければならないのか?
 100万回生きた猫がいつも買っている店を聞き、そこで買えばいいのに。
 もしくは100万回生きた猫は、トマトジュースを買ってはいない?

・時任はなぜ、小学生の頃の七草を知っているのか?
 ただし、小学1年生の頃は知らない。七草が真辺を意識した小学4年生の頃は知っている。
 ちなみに真辺は1年生の頃から七草を認識していた。

・堀と時任は、なぜ真辺を「危険」と思っているのか。

・「時任はまだ、この不自由な世界を見限るつもりはない」の真意は?

・時任はなぜ、階段島が「自分自身に捨てられた人たちの島」ということを知っているのか?

・時任は魔女の正体を知っているのか?
 時任が魔女宛の手紙を届ける時は、階段を登り切た魔女の館に届けるのではなく、住民の一人として生活している魔女に届けるのか?

・七草は魔女を特定するが、『いなくなれ、群青』で七草が電話で話した魔女の雰囲気は、今回魔女と特定された人物とは違っていた。
 彼女は本当に魔女なのか?

・七草が魔女を特定した方法では、彼女の前にもう一人、リレーに参加する予定の人物がいたという。
 その人物は誰か?
 なぜ七草はその人物を魔女の候補から外したのか?

・七草が魔女を特定した直後にその人物から受け取った手紙では、「私は魔女の正体を知っています」と書かれています。
 その人物が本当に魔女なら、正体がバレた後で「魔女の正体を知っている」という手紙を渡す意味がありません。
 ということは、その人物は本当は魔女ではなく、正体を知っているだけであるということを伝えたかったのでは? 

・なぜ魔女は通販を使えないようにしたのか?
 なぜ再開が可能になったのか?
 何か問題が発生したのか? だとしたらその問題は解決したのか?

魔女の正体の考察

本作で一応魔女の正体が明らかになりました。
が、上記の疑問でも書きました通り、私は彼女が本当に魔女が疑っています。

理由をもう一度列挙します。
・七草が電話で話した魔女とは雰囲気が違う。
・「魔女」の前にもう一人リレーに参加する人物がいる。
・正体がバレた直後に、「私は魔女の正体を知っている」と書いた手紙を渡した。
これらのことから、私は彼女は本当は魔女ではないと推測します。

では誰が魔女なのでしょうか?
私は、真辺由宇ではないかと思います。
「魔女」にバトンを渡す役は、真辺由宇だったのではないでしょうか。
七草は「魔女」を確認した後、「魔女」は手紙を渡すことにより、「魔女」も誰が本当の魔女であるか知っていると、七草に伝えたとは考えられないでしょうか?
七草は真辺由宇の前で魔女と電話で会話をしましたが、そもそも階段島は自分自身の欠片が生きている島です。
真辺由宇の人格の一部でもう一人の真辺由宇を作ることなど、簡単でしょう。
もしかしたら最初に階段島に来たのが真辺由宇で、それから他の欠片たちを集め始めたのかもしれません。
その時期は、小学生の頃かもしれませんし、なんなら11月でも構わないのです。
「涼宮ハルヒ」のように、魔女が誕生したことにより、欠片たちを集めて記憶を操作したのかもしれません。

でも、多分違うだろうなー

魔女が時任という可能性も否定できませんが、あまりにも分かりやすく怪しいので、逆に違うように思います。
とはいえ、多分、時任は魔女の正体を知っている協力者なのでしょう。

よほど意地悪な作者でない限り、魔女の正体はシリーズの早い段階で登場した登場人物であるはず。
そのうちの女性となると人数も限られてくるので、一人一人検証していけば正体は分かるかもしれないけど、もしかしたら魔女の正体は男というのもありえるかも。
自分の中の男の部分を切り捨てた女性の本体は外の世界から階段島をコントロールしていて、階段島の男性の欠片は情報収集の役割を担っているとか。


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