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進撃の巨人第130話『人類の夜明け』あらすじと未解明の謎・伏線・考察【ネタバレ注意】

エレンは操り人形か否か

久しぶりにエレンの心情が描写されています。

イェレナからジークの「安楽死計画」を持ちかけられたエレンは、フロックにジークの計画に乗るフリをすること、本当の目的は壁外人類を滅ぼすことを打ち明けていました。

エレンはヒストリアとも接触していました。
ヒストリアを巨人にして、ジークを食わせる計画があることを告げ、ヒストリアは自身が妊娠してそれをかわすことを提案しました。

そして今、エレンは壁の巨人を従え、ついに大陸を射程に収めます。
迎え撃つは世界連合艦隊。
世界中の大砲のほぼ全てが集結し、巨人達を迎え撃ちますが、巨人の敵ではありませんでした。
世界連合艦隊を沈めた壁の巨人は大陸に上陸し、ついに「地鳴らし」が発動します。
壁外人類はなすすべもなくおののくだけでした。

壁外人類を滅亡へと導く「地鳴らし」が始まった回がのタイトルが『人類の夜明け』とは。
エレンや壁内人類にとっては「夜明け」かもしれませんが、なんと凄惨な夜明けでしょう。

無音の世界と1巻との対比

諌山先生は構成が上手い漫画家さんと常々思っていましたが、今回は特に神がかっていました。
マンガにつきものの効果音が、今回は一切ありませんでした。
音がないことで、起こっていることの凄みが一層際立っています。

そして第1巻との対比。
整然と列をなして歩み来る巨人は、まるで壁のようです。
その「壁」の上から、エレン巨人が見下ろしています。
世界連合兵士は、思わず呟きます。

「…あれは」
「…あ……」
「…ヤツだ……」
「進撃の巨人だ」

場面は変わって、母親が巨人に食われるところを目撃したエレン視点になります。

「駆逐してやる」
「この世から」
「一匹残らず」

構成と、「駆逐してやる」と誓う人物は一話目と同じですが、その他全ての要素が反転しています。
一話目を読んだとき、誰がこの未来を予想したでしょう?

「どこからが始まりだろう」

「どこからが始まりだろう」

大陸に向かうエレンは、内省します。
目に浮かぶのは、「お帰りなさい、エレン」の場面、そして柵と豚、覗き込む若きグリシャ、ヒストリアの手に口付けるエレン。

柵と豚は、始祖ユミルが濡れ衣を着せられた豚脱走事件を示唆しているのでしょうか?
確かにこの事件がきっかけで巨人化能力を手に入れたので、そもそもの始まりともいえるでしょう。

覗き込むグリシャに関しては、こんなシーンはありましたっけ?
服装から見て、30巻第120話『刹那』で幼いエレンを抱き上げて泣かれて困っている顔のようですね。
もしくは、情熱大陸で明かされた「最終コマ」の赤ちゃんを抱いている男性がグリシャなら、このシーンなのかもしれません。
諌山先生ともあろう方が、こんな重要な場面でどのシーンかすぐには分からないコマを持ってくるとは思えないので、何かしらの意味があるシーンだと思われます。

「お前、胸張って生きろよ」

地鳴らしを行うことを告げるエレンに、ヒストリアは蒼白な顔で訴えます。

「エレン…、あなたを…何としても止めないと、二度と…胸を張って生きていくことができない」

ウトガルド城で巨人に変化する前、ユミルはヒストリアに「お前、胸張って生きろよ」と言いました。
ヒストリアの心には今もユミルが生きていて、ユミルの言葉を指針にして生きているのだと感じました。

エレンの守りたいもの

トルコ帽の少年の暮らす難民キャンプ(?)の前で、エレンは涙を流していました。
私はこの後トルコ帽の少年に不幸が起こり、それもきっかけの一つとなってエレンが暴走した、と考察していたのですが、違ったようですね。
おそらくエレンは、「この少年をも自分は踏み潰すだろう」と思って涙を流していたのだと思います。
今までは「壁外人類」と一括りで顔を持たない漠然とした存在だった存在が、個々の顔を持った知り合いになってしまった。壁の中も外も同じ人間だと実感した瞬間なのだと思います。

それでもエレンは、「地鳴らし」を選びました。
それは、104期生をはじめとした壁内人類を守るため。

世界連合艦隊を前に、エレンは守りたい人たちを思い起こします。
18巻第72話『奪還作戦の夜』のシガンシナ区奪還作戦の前夜と思われる光景には、ミカサにサシャ、アルミン、コニー、ジャン、マルロら104期生の他に、エルヴィン団長、リヴァイ兵士長、ハンジさん、そしてフロックの姿もありました。
実際の席順とは異なっているのでエレンの心象風景と思われますが、正直言ってフロックもいたのには驚きました。
エレンはフロックも仲間認定しているんですね。
ジークの計画に乗るフリをしている、と、本心も語っていますし、信頼していたんですね。

そしてジークも。
アッカーマンの習性について相談し、「その子はお前が好きなだけだ」と言われたエレン。
ジークはエレンをちょっとからかうような表情をしています。
わざわざこのシーンを回想するあたり、エレンもジークを兄として慕う気持ちが皆無でないのでは?

エレン最終形態の違和感

ファイナルファンタジーⅧをプレイしたことがあるでしょうか?
ラスボス・アルティミシアの第四形態は、上半身が魔女、下半身が逆さに吊られた女性となっています。
この吊られた女性は、かつて人間であった頃のアルティミシアでしょう。
魔女に精神を乗っ取られてしまっていることを示唆しています。
ラスボス・アルティミシアが、FFⅧのヒロインのリノアの未来の姿である、という考察があり、なかなか興味深いのですが、それはさておいて。

最終形態のエレン巨人の姿に、何か違和感を感じませんか?
上半身はエレンゲリオン、下半身は、レイス巨人のような超・超大型巨人。
上半身と下半身の大きさが釣り合っておらず、まるで2体の巨人が繋がっているようです。
そしてエレンゲリオンの腕は、下半身の巨人の突起から出ている糸のようなもので、繋がれています。
まるで操り人形のように。

「どこからが始まりだろう」
エレンは回想します。

すべてが最初から決まっていたとしても
すべてはオレが望んだこと
すべては…
この先にある

エレン自身も、未来を見たことが自分の行動に影響を与えていることを自覚しています。
しかし、「オレが望んだこと」と思い込んでいるだけで、実際には「未来あるいは過去の進撃の巨人の継承者」もしくは「始祖ユミル」の思想に操られているのではないでしょうか?

ともあれ、「地鳴らし」はすでに発動されてしまいました。
壁外人類には、もはや「地鳴らし」を止めるすべはありません。
ミカサ達がエレンを止めに行くまでに、どれだけの人間が踏み潰されることでしょう。
物語的には、エレンこそが「駆逐」されなければ終わらないところまで来てしまいました。
エレンは、自分がいなくなっても残ったみんなが幸せに生きられれば良い、と思っているようですが、自分たちのためにこれだけの惨事が引き起こされて、残されたものが幸せに生きられるとエレンは考えているのでしょうか?
ヒストリアに言ったように、記憶操作をするから問題ないと考えているのでしょうか?

31巻第123話『島の悪魔』でエレンがミカサに「オレは…お前の何だ?」と問いかけた時、ミカサが恋心を告白していたら、エレンの選択は変わっていたのでしょうか?

クルーガーは言いました。

「人を愛せ」
「それができなければ繰り返すだけ」

エレンは異性への愛を成就できなかったため、憎悪を繰り返しているだけなのでしょうか?
エレンが愛を得れば、憎悪の連鎖を止めることができるのでしょうか?


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