<!-- もしもアフィリエイトでかんたんリンクを貼る時、 レスポンシブを有効にするためのタグ-->

『大分断』ソ連の崩壊、ブレグジットを予言した著者の新たな予言

「絶対値による会話分析方」頻発ワードに注目せよ!

普段、政治に関する本を読まないので、本書を読むのに非常に骨を折りました。
読み終わっても、十分に咀嚼しきれていない感があります。
今まであまりにも政治的な本を遠ざけてきたと、反省。

著者のエマニュエル・トッド氏は、ソ連の崩壊、アラブの春、トランプ大統領の勝利、英国のEU離脱などを予言したとされる、フランスの歴史家、文化人類学者、そして人口学者だそうです。

「人口学者」とは聞き慣れない言葉ですが、人口統計から様々な事柄を読み解く分野のようですね。
実際、ソ連の崩壊は乳児死亡率の増加から、トランプ大統領の勝利はアメリカの中年白人死亡率が上昇したことから予測したそうです。
なぜその統計からその分析に至ったのかは詳しく書かれていませんが、なんとなく想像はつきますよね。

今回の大統領選については、残念ながらなんの言及もありませんでした。
人口統計は4年で大きく変わらないでしょうし、トッド氏は占い師ではなく、大統領選を予測するのが仕事ではないので仕方ないですね。

その代わりに、アメリカとロシアが手を組む可能性について言及しています。
過去の歴史においても、戦略的な変化により宿敵同士が手を組むことはあった。
無責任中国とドイツに対抗するため、アメリカとロシアが同盟を組むこともあり得ると言います。
これが今回の「予言」になるかも。。。?
もっともトッド氏はフランス人のためか、ドイツに対して手厳しすぎる気もします。

ところでトッド氏は、面白い思考方法を取り入れています。
それは、「絶対値による会話分析法」です。
会話に出てくる単語が肯定の意味か否定の意味かを考慮せず、その回数に注目するというものだそうです。
例えば、今年の3月にフランスは新型コロナウイルスによるパンデミック対策で、ロックダウンを行いましたが、その際政府は「民主的な規則を遵守するため、法の採択が必要だ」と繰り返したのだとか。
本来であれば医療危機の際に「民主主義」が問題になるはずはないのに、ことさら民主主義に言及したのは、フランス政府が民主主義を解体したがっているからではないのか、と考えるように、頻発する単語をキーに思考する手法だそうです。

なにやら難しい考え方ですが、そういえば数年前、やたらと「世界に尊敬される日本」的な番組が流行ってことがありました。私はそれを見て、「世界における日本の地位が落ちてきたなー」と感じました。
本当に日本が世界から尊敬されていたとしても、日本に自信があれば、わざわざこんな番組を作る必要はありません。
ことさらそんな番組を作るということは、自信がなくなってきた証拠だと感じたのです。

本書は、日本向けのインタビューから書き起こされた本ですので、日本に対する分析も書かれています。
それによれば、日本では、もともと直系家族を基盤とする男性優位社会のため不平等を受け入れる価値観があり、そのためか、格差の問題は欧米ほど深刻ではない、としています。
この辺りは、正直よくわかりませんでしたが、なんにせよ、「男性優位社会のため不平等を受け入れる価値観がある」というのは、不名誉な指摘ではありますね。


リクエスト受付中です!
記事下のコメント、お問い合わせフォームツイッターのDMなどで、お気軽にご連絡ください。