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大草原の『小さな家の料理の本』:シリーズに出てくる全ての料理のレシピ

憧れのヴァニティーケーキの衝撃

ローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』シリーズは子供の頃からとても大好きな本で、繰り返し読んでいます。

子供の頃は、西へ西へと進んで開拓するフロンティア・スピリットや、豚を解体して尻尾をあぶる、そんな生活に憧れましたが、大人になるにつれ、インガルス一家の生活の大変さが分かるようになりました。
何しろ基本の食事は、パンに塩漬けの豚肉とジャガイモを炒めたものばかりですし、「豆のスープ」は豆の煮汁、野菜の描写はほとんどありません。
「古き良き時代」のように描かれているけど、現在の発展途上国以下の生活だったんだろうなあと思っていました。

それでも、ローラの結婚式にはウェディングケーキを焼いていますし、裕福なアルマンゾの家の食事はなんだか豪華そう。
ジョニイケーキとか、サワー・ドゥのビスケットとか、青いかぼちゃのパイとか、手作りソーセージとか、一度は作ってみたい料理も数多くあります。

中でも気になるのが、”見栄っ張り”ヴァニティーケーキ。
『プラム・クリークの土手で』の「村のパーティー」で、母さんが作ってくれたケーキです。
中身はからっぼなのに、ふくれあがっているところが見栄っ張りの人と同じだから、”見栄っ張り”ヴァニティーケーキなんだとか。
カリッとしていて、舌のうえで溶けてしまうというヴァニティーケーキを食べてみたいと思うのは私だけではないようで、アメリカの読者も、ローラに作り方をよく質問していたそうです。
ですが、残念ながらローラ自身も母さんから習っていなくて、作り方がよくわからないそうでした。

大草原の『小さな家の料理の本』で、著者のバーバラ・M・ウォーカーさんは、古い資料を当たって、ヴァニティーケーキの作り方をレシピ化してくれました。
憧れのヴァニティーケーキ。
早速作ってみたのですが。。。
材料と作り方を読んだ時点で気づくべきでした。
このお菓子は、アレであることに。。。
フライを作った後、残った小麦粉、卵、パン粉がもったいないから、全部混ぜて揚げたことはありませんか?
ヴァニティーケーキはまさしくソレなんです。パン粉が入っていませんが。
決してまずいわけじゃないんです。
だって、残り物で作る、あの名もなき揚げ物も普通においしいですし。
でも、お菓子かと言われると、「うーん」って感じですよね。
たとえ粉砂糖をきれいに振りかけていても。

改めて「小さな家」シリーズを読み返してみると、ハンス・ロスリングさんのFACT FULNESSで描かれているレベル1の暮らし、1日1ドル〜2ドルで暮らしている北朝鮮やエチオピアのような生活です。
とうさんは継だらけの外套を着ていたり、娘達はサイズの合わない靴を履いていたり、食べるものに事欠いたり。。。

本書で紹介されている当時のレシピも、想像を絶する内容でした。
なんと、塩漬けの豚肉を焼いた時に残る脂は、取っておいてフライに使ったり、パンにつけたり、お菓子に使ったりしていたそうです。
また、『農場の少年』で、リンゴの芯もビネガーを作るために取っておいたという描写に子供心に「ん?」と思ったものですが、実際の作り方は、想像以上に凄まじいものでした。
樽に、リンゴの芯や皮、去年のビネガーの残りの他に、雨水、プリザーブを作った時の上澄み、糖蜜の樽のすすぎ水、はちみつ、ブラウンシュガーを入れて、しばらくおいておくと、中身が発酵して、やがて酢になるそうです。
…雨水?

旅の必需品の乾パンも、イーストや重曹で膨らましているわけではなく、小麦粉と塩を混ぜたところに水を加えて焼いただけ。
「鉄板」「歯くたびれ器」「頭痛製造機」などと呼ばれていたそうで、「古き良き時代」なんてとても言えないような環境だったようですね。

それでも、やっぱりヴァニティーケーキを作ってみて、本当に良かったと思います。
ローラ達の生活の一端を垣間見れたのですから。


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