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『ことばのトリセツ』感性で読み解く印象の秘密と、『鬼滅の刃』ヒットの理由

鬼滅の刃は、時代の大きなトレンドに沿っていた

第1章 語感の正体

「ブーバキキ効果」という有名な心理学の実験があります。
トゲトゲした、マンガで叫びのセリフによく使われるような形と、雲のようにふわふわした形の2つの図形を被験者に見せて、「この2つの図形は、とある国で、ブーバとキキと呼ばれています。あなたはどちらがブーバで、どちらがキキだと思いますか」と聞くと、老若男女洋の東西を問わず、ほとんどの人が、雲のような形をした方をブーバ、トゲトゲした方をキキと答えるそうです。

この実験からもわかるように、音韻が脳に与えるイメージには普遍性があるらしい。その法則を研究しているのが、著者の黒川伊保子さんです。

例えば、人の名前には、ヒトの身体に力を入れてしまう名前と、力を抜いてしまう名前があるそうです。
「いほこ」は緊張を解く名前。親に怒られる時も、「いほこ!いほこ!」と2回呼ばれると、明らかに親の怒りのボルテージが下がるのを感じていたとか。
逆に、「いほこ」さんの弟の「ケンゴ」は、相手を緊張させる名前。語感が凛々しすぎて、親が「ケンゴ!」と呼ぶと、怒りのボルテージが上がってしまっていたそう。
親の怒りのボルテージだけでなく、名前が進路にも影響しかねないとしたら…、怖くありませんか?
伊保子さんの経験上、素早い判断と軽やかなフットワークを要求されるバイヤーの苗字には、スピード感あふれるS,Kのイニシャルの人が、人事部には優しさと落ち着きをもたらすN,M,H,Y,Wのイニシャルの人が圧倒的に多いのだそうです。
そういえば、私の勤務している会社の人事部長の中野さんが数年前に定年退職したのですが、後任もなんと「中野部長」で、びっくりした覚えがあります。

第2章 ことばのトリセツ

「頑張って!」という言葉が苦手です。
便利な言葉なので人には使ってしまうのですが、自分が言われても、何かこう、ピンときません。
そもそも「頑張る」のが嫌いでいつも「頑張って」ないので、「私はこんなに頑張っているのに、これ以上どうやって頑張ればいいの?」という気持ちとも違います。

伊保子さんによれば、自分に気合いを入れる時の言葉の好みが、真っ二つに別れるそうです。
「頑張ろう」「ざっくり片付けよう」などの力強い濁音が気持ちいい人と、「さっさとやろう」「パパッと片付けよう」などの軽やかな清音が気持ちいい人と。
そういえば私が気合を入れる時は、「ッシャア!」「サクッと終わらせますか」などと言っていますね。
濁音派の「頑張れ」がしっくりこないわけです。
でも、人を励ます時に、「この人は静音派だっけ? 濁音派だっけ?」と考えるのは面倒くさいですよね。
人に使う時は、「よし」「よっしゃ」といった、どちらのタイプの人にも効く気合語を使うといいそうです。

第3章 感性ネーミングの法則

この章では、第1章で少し触れた、名前が与える印象について、深堀りしています。

例えば、第二次性徴期を迎えた男の子は、男性ホルモンのテストステロンの分泌が増え、闘争心や独占欲を掻き立て、好戦的になり、暴力的な事象に憧れます。
その影響で、重低音が響くロックや、バイクや車の振動や排気音に惹かれるのですが、それだけでなく、重低音が響くZ,G,B,Dを使う濁音への好感度が上がるのだそうです。
サバゲー、バイク、ギア、ガン、バーベキュー、バーガーキングなどなど…
そういえばワンピースの主人公も、モンキー・D・ルフィ。「Dの一族」の謎が物語を貫いていますね。

一方女の子は、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が増え、女性らしい身体つきになるために少し太り、身体が重くほてるように感じます。
そのため、軽やかに発音でき、口腔が冷えるS,K,R/L(ラ行音),Pなどを好み、その傾向は50代まで続くそうです。
カワイイ,スキ,キライ,ステキなどなど…

「鬼滅の刃」の「煉獄杏寿郎」が女性に人気なのは、語感のせいもあるかも?
実は、伊保子さんも煉獄さんの魅力にハマっているようです。
HOT PEPPERで「私たちが恋する理由」という伊保子さんのコラムがあるのですが、6月号の「好きな人の気を引くには?」というテーマの回答は、なんと「お願いを喜んであげて責務を全うさせること」と回答していました。
今までであれば絶対に、「目標を達成させること」と書いていたでしょうに。

感性トレンド

伊保子さんは、「大衆全体の感性の56年周期」を提唱しています。
流行は7年で飽きられ次の流行へ移り、それを4回繰り返した28年目には最初の年の真逆の感性が流行し、56年目に元に戻るのだとか。

例えば、2002年には自動車のデザインは丸さと曲線のピークを迎えましたが、2009年には「カクカクシカジカ 四角いムーヴ コンテ新登場」のCMが流行りました。
さらに2016年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーには、ライトとヒップラインがキュッと尖った、マツダロードスターが受賞しています。

女性ファッションでは、2000年代初頭はグロスとつけまつげがマストアイテムでしたが、2016年になるとアイライナーで目尻を跳ね上げたキャットラインが人気になりました。

流行りのワードを見てみると、2010年代前半まで企業やアスリートたちは「夢」という言葉をよく使っていましたが、そういえば今はあまり聞きませんね。
代わりに、使命、本格、挑戦、世界初、史上初といった言葉が多用されているそうです。
女性誌のキャッチコピーも、愛され○○、美魔女、ナチュラル、スイートといったワードから、本格派の○○、凛々しい○○、パワーといった言葉にシフトチェンジしているのだとか。

クイズ番組も、おバカタレントから、クイズ王の熾烈な戦いに変化していますね。

全体的に、柔らかく丸い感じから、意識が尖り、「凛々しさ、自尊心、意欲、向上心」を心地よいと感じるようになってきているそうです。

マンガの流行も、ワンピースを経て鬼滅の刃に移ったのも、このトレンドに載っていたからでしょうか。
『鬼滅の刃 無限列車編』の煉獄さんは、「使命」を全うしましたよね。
『ONE PIECE』は「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を探す物語。
鬼滅の刃は、K音で始まりますし、「刃」がタイトルに入っていることから、尖った印象を受けます。
一方、タイトルロゴが刀の軌跡を表した円形なのは、現在が丸⇒鋭利への移行期だからでしょうか。


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